体を動かすチカラになる「炭水化物」、実はカロリー調整の立役者
「炭水化物」と聞くと、小学校の時に「体を動かす力になって体温を上げる」などと習った記憶がある方も多いのではないでしょうか。「黄色の食品」という覚え方をした学校もあると思います。炭水化物は3大栄養素の1つでもあります。
炭水化物は糖質と食物繊維に分けられます。先ほど出てきた「体を動かす力」になるのは糖質で、1gで4kcalのエネルギーに代わります。食物繊維は体の中で消化・吸収されない成分で、昔は「不要なもの・カス」という扱いでしたが、近年はその働きが認められています。今回は主に炭水化物の中の糖質について扱っていきます。
糖質を多く含む食品は、砂糖・ハチミツなど糖類の他に、米・小麦などの穀類やジャガイモなどの芋類があります。穀類や芋類の「デンプン」は甘くはありませんが糖質です。果物に含まれる果糖も糖質です。糖質を多く含む食品は植物性の物が多く、デンプンが多い物は主食にされ、加熱して食べることがほとんどです。
糖質は体の中でどのように消化・吸収されるのでしょうか?糖質を含んだ食品を摂ると、まず口内の唾液で分解されます。その後、十二指腸や小腸で更に分解されてブドウ糖になります。分解されたブドウ糖は吸収され、血液によって体内に運ばれます。ブドウ糖は他の栄養素(たんぱく質や脂肪)に比べてスピーディーに使う事が出来ます。また、脳や神経が働くには糖質(ブドウ糖)が必要で、極度に不足すると意識を失うなどの危険があります。
体内に入った糖質は、血液中のブドウ糖以外には肝臓でグリコーゲンになり、筋肉中に蓄えられます。ただ、グリコーゲンになる量はごく少量です。体内ですぐに使われなかった分は、体脂肪となって体に蓄えられ、肥満や生活習慣病の原因になる可能性があります。
では、糖質の適量はどれくらいなのでしょうか。1日に必要なエネルギー量の50~70%を糖質から摂るといいと言われています。(ここでは60%で計算します。)1日の目標値が1,800kcalの人なら60%で1,080kcal、ご飯でいうと茶碗に4杯程度が目安です。ご飯以外に砂糖などの調味料や他の食品からも糖質を摂ることを考慮すると、茶碗3杯程度ということになります。
ご飯茶わん1杯のエネルギー量を他の食品に置き換えると、ゆでうどん1玉、8枚切り食パン2枚に相当します。この量と皆さんの食事量を比べてみて下さい。多いでしょうか、少ないでしょうか?
みなさんの話を聞くと、普段の家庭の食事では適量を守れていても、外食の時に適量を超えてしまう傾向があるようです。また、主食は適量でも、主菜(肉や魚など)の量が多くて、トータルするとエネルギー量がオーバーしそうな時もあると思います。このような場合はどうしていますか?
対策として、外食の時は出されたものをキレイに食べて前後の食事で調整する、同行者とシェアする、始めからご飯を減らしてもらうなどの方法が考えられます。特に、ご飯を減らしてもらう方法は一人の時でも可能ですし、お店の方にも快く聞いてもらえる合理的な方法です。最近は、ご飯の量が選べる、量を減らすと値引きしてくれる・・・などのお店が増えつつあります。
ご飯以外では、パンの場合は多かったら持ち帰れるお店もあります。(同行者や周囲に迷惑をかけない範囲でお願いします。)麺類は量の調整をしてくれる所も有りますが、対応が難しい場合もあるので、他の食事で調整するといいです。(ラーメンにライスをプラスするなど、炭水化物が重なる注文はお薦めしません。)
主食は比較的量の調整がしやすい食材が多いので、適量を頭に入れて上手につきあっていって下さい。