【栄養士のキモチ】栄養とカロリーのちょっと気になる関係とは?

実は知らないカロリーの測り方、「1kcal」ってこういう事

「昨夜は食べすぎたね」「そうだね、カロリー多すぎたよね」・・・そんな会話をした事はありませんか?なにげなく使っている「カロリー」という言葉、数字が大きければ体の脂肪になるということは知っていても、詳しい事はわからない・・・という方もいるのではないでしょうか。

カロリー(cal)は熱量(エネルギー)を表す単位です。1カロリーは1ccの水の温度を1℃上げる時のエネルギーです。1キロカロリー(kcal)はその1,000倍、1リットル(=1000cc)の水の温度を1℃上げる時のエネルギーということになります。エネルギーの単位は国際的にはジュール(J)を使う事になっていますが、日本ではカロリーの方が多く使われています。また、日常会話などではカロリー=エネルギーという使われ方をすることが多いです。カロリーをジュールに換算する場合、1カロリーは約4.2ジュール、1ジュールは約0.24カロリーです。

ところで水の温度が上がる事と食物とはどんな関係があるのでしょうか?私達は食物の持つエネルギーを取り入れて、体内で活動の為のエネルギーに置き換えて使っています。「食物を体の中で燃やして体温にしている」と思ったら、イメージしやすいのではないでしょうか。

食物から体内に取り入れるエネルギーのことを「摂取エネルギー」、活動をして体内で使われるエネルギーのことを「消費エネルギー」と呼びます。

摂取エネルギーを正確に測るには食物と排泄物のエネルギーをそれぞれ測定して引き算をすることになりますが、毎回これを行うのは現実的ではありません。広く一般に使われているのは、爆発熱量計(ボンブカロリーメーター)という装置の中で食物を完全燃焼させて、上がった温度を測る方法です。

ただし、人の体の中では全てが燃焼されるわけではなく、何割かのロスが出るので「エネルギー換算係数」という数値を使って修正をしています。修正後のエネルギーは、炭水化物4kcal/g、たんぱく質4kcal/g、脂質9kcal/gです。

また、摂取エネルギー量を測る為に、私達の毎回の食事を燃焼させたり分析したりするわけにはいきません。(そんな事をしたら食べられなくなってしまいます。)通常は食品を分析して平均したデータにしたものを使います。このデータをまとめたものを「食品成分表」と呼び、冊子として販売されている他、インターネット上で見ることも出来ます。

次に、消費エネルギーの2つの測定方法を確認しておきましょう。「直接法」は、摂取したエネルギーが熱となる事を利用して体から出る熱を測る方法です。(計測の際は外気に影響されない環境で長時間過ごします。)

「間接法」は食物の栄養素と酸素が化学反応を起こす事を利用して、呼気の中の酸素と二酸化炭素の割合、尿中の窒素の割合を測定し、計算をして求める方法です。(計測の際は呼気を全部集める装置を使います。)

この2つの方法はどちらも大掛かりな装置が必要で、誰もが出来る事ではありません。実際には、基礎代謝量(生きていくために最低限必要なエネルギー、年齢や体重から求める)と活動強度(日常どれくらい体を動かしているか)から計算で求める方法が一般的です。

まとめると、体に取り入れるエネルギーを「摂取エネルギー」(食物を分析した数値から計算する)、体の中で使うエネルギーを「消費エネルギー」(年齢や活動量などから計算する)と呼び、そのエネルギーを表すための単位が「カロリー」や「キロカロリー」ということになります。そして、消費エネルギーよりも摂取エネルギーの方が多かったら、それが「体脂肪」という形で体に蓄えられるのです。